過保護な騎士団長の絶対愛
「ユリウス! お願い! 目を覚まして! 私を置いて死なないって、そう約束したじゃない!!」

 ようやく外に出られてガイルも捕まり、これですべて終わったと思っていたのに。ユリウスとコルビスへ帰れると思っていたのに。

 見下ろしてユリウスの頬に触れると、確かにまだ血の通っている温かみを感じた。しかし、徐々にそれが冷たくなっていき、硬直し始める姿を想像すると身が裂けるような思いだった。

「私、まだユリウスに言ってないことがあるのよ、あなたのこと、愛してるって……私の告白を聞かずに死ぬなんて、絶対に許さない! ユリウス! 私の守護騎士なら目を覚ましなさい! 命令よ! めい……れい……」

 ララは王族として毅然と振舞おうと努めたが、その言葉とは裏腹に声は震えて今にも消え入りそうになってしまう。

 その時だった。


頬にあてがっていたユリウスの手の甲がピクリと僅かに動いたような気がした。

 いま、動いた、よね――?
< 163 / 203 >

この作品をシェア

pagetop