過保護な騎士団長の絶対愛
 シナリスの敷地内に入り、王都を馬車で通り抜ける。

たくさんの人が歓迎の声をあげているのが聞こえてくる。そしてようやく城の前に馬車が到着し、その扉が開かれた。先にユリウスが降りて、続いてララがユリウスに手を取られてタラップを降りた途端、盛大な拍手と割れんばかりの歓声、そして音楽隊が奏でるファンファーレが、音の波となって彼女を歓迎した。あまりの衝撃に、一瞬すべてが真っ白になり、ふらっと身体が揺れた。


 私、すごい歓迎されてる――?

「これより、全国民の前でコルビス王国のララ・アントリア・ウェイン王女と婚儀を交わす」

 ユリウスの凛とした声明に、今までの喧騒がさっと止み、緊張を煽られるような静けさが訪れた。彼女を見つめるシナリスの国民の視線が矢のようにララを刺す。

「皆、私があなたをこの国へ連れてくると信じて待っておりました。もちろん私も。ここには主教もいない、だから国民が私たちの証人だ。頭を下げて」

「はい」

 ララは言われた通りに軽く膝を曲げて頭を垂れると、すっとティアラが載せられる。

「本当は、この場でティアラを受け渡すつもりだったが……早く、これをあなたに被せたくてモリス様の前で早まってしまった」

 ユリウスは自分の行動に少し顔を赤らめると、ララはクスリと笑った。

「ユリウスにも、そんな一面があるなんて、ちょっと嬉しい気分よ」

「まったく……」

 困ったようにユリウスも笑うと、付き人になにか持ってくるように合図をする。そして純白のリングピローに埋め込まれた光り輝く銀の指輪がユリウスに差し出された。
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