過保護な騎士団長の絶対愛
 ララがそう傍観していると、モリスがコホンと一回咳払いをした。


「お前たちも年頃になったことだし、ここでひとつ決めたことがある」


 モリスが改めて言うと、三人の娘たちは動きを止めてモリスに注目した。スカーラも泣き止んですでに気を取り直している。


「今年中に、良き殿方を見つけて嫁ぎなさい! でなければこちらで相手を決める」


「……は? ええーっ!?」


 気が合わない三人の姉妹の声が見事に揃う。


 な、ななななんだってぇー!? 今年中って――。


 今は三月。今年中ということはあと九ヶ月しかない。まったく、結婚なんて視野に入れていなかったララは、父の通告に唖然となった。


「父上、ならばモリス王主催の舞踏会を開くのはどうでしょう?」


 この期に便乗してパーティー好きなシンシアが提案する。


「ふぅむ、そうだな、ただの舞踏会では面白くないな……仮面舞踏会にしよう」


 か、仮面舞踏会!? そ、それって……相手の素顔がわからないってことだよね――?


「父上、仮面舞踏会って、お相手の顔がわからないんじゃ……」


 仮面舞踏会は身分や素性をマスクで隠して楽しむ夜会のことだ。ララは不安げにモリスに言うと、モリスは声を立てて笑った。


「ハッハッハ、ララよ。男は顔だけではないぞ?」


 モリスは白葡萄酒の入った金杯のゴブレットを煽ると言った。


「男は心だ」


 はぁ……心、ね――。


「よし! 一ヵ月後だ。一ヵ月後に舞踏会を開くことにする!」


 ララは複雑な心境で人知れずため息をついた。
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