過保護な騎士団長の絶対愛
 ほんのりユリウスの香の香りがふわっとララの鼻腔をかすめた。白檀の香りだ。大人の男性の香りを意識すると、急に心拍数が跳ね上がる。


「失礼しました。ララ様に怪我があってはいけませんので」


「あ、う、うん……ありがとう」


「それにしても、私を出し抜こうなんて……百年は早いですね」


 ララはほんの少し剣を交えただけで呼吸が弾んでいたが、ユリウスは涼しい顔をしている。


 こんな近くでユリウスの顔を見たのは初めてだった。自分を見つめる深海のような瞳に吸い込まれてしまいそうな気がした。薄い形の整った唇が、身じろぎすれば触れてしまいそうな距離にある。ユリウスの微塵も乱れのない息がふっとララの頬にかかると、その部分がほんのり熱を持った。


「私の負け……?」


 なんでドキドキしてるの私――。


 早まる胸の鼓動も、きっと剣を交えた時の興奮がまだ冷めやらないからだ。きっとまた、「踏み込み方が足りない」とか「気持ちが乱れてる」とか言われてしまうのだろうと思っていると、ユリウスが予想外のことを口にした。


「そうでもないみたいですよ」


「え……?」
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