過保護な騎士団長の絶対愛
 両手の甲にユリウスの手を重ねられ、まるで後ろから抱き込まれているような感覚にララはユリウスの言っていることにまったく集中できなかった。


「先ほどみたいに、脇が甘いと剣先がぶれて不安定になります」


「う、うん」


 身体の奥底からじわっとした熱を感じ、ララの胸がトクンと音を立て、急速に高鳴っていく。頬が赤くなっていないか、耳朶が赤くなっていないか、ララは気がきではなかった。


「どうかされましたか?」


「へっ!?」


 耳元でそう囁くように言われてララの身体がビクリと跳ねた。真面目にユリウスは指導してくれているというのに、雑念に駆られていたことを悟られてしまったのではないかとララは慌てて、ユリウスに向き直った。


「な、ななんでもない! ありがとうユリウス、自分でも練習してみる」


「自室で剣を振り回さないようにお願いしますよ、先日も侍女にそうぼやかれたばかりですので」


 冷静なユリウスを見ると、今まで意識していたのは自分だけだったと思わされる。


 馬鹿みたい――。


 火照りはじめていた熱も一気に冷め、ララも平常心を取り戻していく。


「ララ様が剣を振る時は、いつも何かあった時です。話を聞かせてはくれませんか?」


 互いに剣を鞘に収める。


「ユリウス、あのね……」


 ララはハァと息をついてユリウスに今日の晩餐会での出来事を話した。
< 33 / 203 >

この作品をシェア

pagetop