過保護な騎士団長の絶対愛
「そうですか……仮面舞踏会、モリス様らしい発想だ」


「もう、感心してる場合じゃないの! 結婚なんて無理! 考えられないんだもの」


 そうは言っても、一生独身がいいというわけではない。いつか素敵な人と巡り合って……という夢はある。けれどそれが今かと言われるとそうではないというだけだ。


「でも、シンシア姉様もスカーラ姉様も結婚して、この国を去ってしまうと思うと……なんだか寂しい気持ちにもなるけどね」


「それでは一番にララ様が嫁がれては?」


「私はまだこの国にいたいの! まだまだ王都の視察だってしていきたいし、国民との交流も増やしていきたいし……だからユリウスは私の傍から離れないでね! これは命令よ」


 ララが人差し指を突き立ててユリウスに言った。まるで子供が駄々をこねているようだと自分でもわかってた。こんな自分でもユリウスは優しく見守っていてくれる。


「私にはララ様と出会って心に誓ったことがあるのです」


 ユリウスがやんわりと目元を和らげて言った。


「誓ったこと……って?」


「それは秘密です」


 いたずらげにユリウスは人差し指を唇に当てると、クスクスと笑った。
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