過保護な騎士団長の絶対愛
「こちらはいかがですか?」


 偶然にもユリウスもまた、ララと同じトレイビーの花の髪飾りに目が留まったようで、それを手に取り、ララの頭につけたその時。


「お似合いですよ、髪の色が落ち着いてらっしゃるので、よく白が映えます」


「え……」


 売り子がにこにこしながら鏡を持ってララにその姿を見せた。鏡に映る自分のすぐ近くにユリウスが並んで立っている。


 なんだか、まるで――。


「その髪飾り、奥方様にぴったりです」


「おっ……」


 奥方様っ――!?


 恋人同士くらいには一瞬思ったが、売り子はそれを飛び越えて、どうやら夫婦に見えたようだった。ちらりとララはユリウスの様子を盗み見ると、ユリウスもその売り子の言葉に、ほんのり頬を赤らめて隠しきれない動揺にコホンと小さく咳払いした。


 ユリウスまで赤くなることないじゃない、なんだか……恥ずかしい――。


「これ、彼女にもらえますか?」


 すると、ユリウスが硬貨を出して言った。


「え、駄目よ、そんな自分で――」


「恐れ多いことですが、私にプレゼントさせてください。誰かにこの髪飾りのことを聞かれたらご自分で買われたと言えばいい」


「う、うん……ありがとう」


 嬉しさと、恥ずかしさが混ざってララは戸惑いつつ、ララは言われるがまま甘んじた。
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