過保護な騎士団長の絶対愛
「ララ様、いつまでそうやって見てるおつもりですか? 転びますよ」


 雑貨店を出てからというもの、歩きながらララは髪飾りを気にして、窓に姿が映るたびに角度を変えたりして、ユリウスに咎められるも、気になって仕方がなかった。


「本当にありがとう、ユリウス。大切にする」


「えぇ、その白い花はララ様の髪によく似合う」


 他国の王子から誕生日プレゼントなどで、身に着ける装飾品はたくさんもらった。けれど、ララにとってこの髪飾りが一番嬉しかった。金の部分にはさりげなく彫り物が施されていて、気に入りすぎて毎日でもつけていたい気分だった。


「ユリウス? どうかした?」


 一点を見つめ、どことなく剣呑な表情を浮かべていたユリウスに気づく。顔を覗き込むと、ユリウスはハッと我に返った。


「すみません、少し考え事をしていました。その髪飾り、私がプレゼントしたことは誰にも口外してはいけませんよ、いいですね?」


「なぜ?」


「私のような下賤な身分の者が献上するなど……世間では許されない行為です」


 そう言われると、身分の差がふたりを妨げている気がしてララは寂しい気持ちになった。


「だから私たちの秘密です」


 少しいたずら気に微笑んで、ユリウスは人差し指で自分の唇にあてがう。


 ユリウスと秘密を共有する。なんだかいけないことをしているようだったが、くすぐったい背徳感だった。


「わかった」


 ララは頷いて、ユリウスにニコリと笑いかけた。

その時。
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