過保護な騎士団長の絶対愛
 胸が痛い。親はおそらくこの子をだしに使って金や食料を得ているのだろう。ララはポケットから硬貨を取り出して、その子供に手渡そうとした。


 本当にいいの――?


 自分のやろうとしていることは正しいことなのか。そんな思いが駆け巡る。硬貨を子供の手のひらに落とそうとしたその時、ララはパッと硬貨を引っ込めてポケットにしまうと言った。


「お姉ちゃんを、あなたのパパのところへ連れて行ってくれない?」


「え……?」


「お姉ちゃん、パパと話がしたいな」


 もし、この子の親のところへ行ったら、子供をだしに使ってはいけない。とひとこと言いたかった。


 男の子は目を丸くしてララを見上げた。すると、みるみる顔の表情が変わり、今までの無垢なあどけない雰囲気から一変して、鋭い目つきに変わって言った。


「ふん、お金持ってるくせに! ケチ!」


「な……」


 躾けのなっていない物言いにララが絶句していると、これ以上食い下がっても無駄だと思ったのか、男の子はその場から走り去ってしまった。


 な、なんだったの――?


 すると、子供とそんなやりとりを見ていた髭の老人がしゃがみこんだままララに言った。
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