過保護な騎士団長の絶対愛
「姉ちゃん、いい身なりしてんな、金、持ってんだろ?」


 軽装とはいえ、この辺を歩いている人が身につけている服に比べれば、ララの格好は上等服だった。「身分が高く、金持ちだ」と言って歩いているようなものだ。警鐘がガンガン響き、ララはそっと剣に手を伸ばそうとしたが、迷いがあった。


 この人たちはあくまでもコルビスの国民。そんな人たちを相手に剣を抜いていいの――?


 しかし、この人数で頑丈そうな体格の男連中に囲まれれば、剣を振るわずには勝ち目はない。


「何が目的?」


 ララが気圧されずに言うと、正面の男がにやっと笑って言った。


「お嬢ちゃん、綺麗な顔してるもんな、目的だって? そりゃ全部かな?」


 ずいっと男がララの前に来ると、ごつごつと節くれだった指でララの顎をなぞった。


「っ!?」


 ガサついた感触に生ぬるい指、ララは身の毛がよだった。


「離しなさい!」


 ララが両手を思い切り伸ばして男を突き飛ばそうとするが、男はびくともしない。


「へへ、元気のいいお嬢ちゃんだな」


「きゃっ」


 男がぐっとララの腕を掴んで強引に引き寄せる。そして、その男がぬらっとした舌で、ララの頬をなめ上げようと徐々に顔を近づけた。


「嫌っ!」


 思わず顔を背けたその瞬間だった。
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