過保護な騎士団長の絶対愛
「ユリウス……」


 思い出した。あまりにも夢中になっていたせいで、ララは店先で待っているようにユリウスに言われたのに勝手な行動をしてしまった。と一気に罪悪感に見舞われた。


「ごめんなさい……言い訳は言わない。私が勝手に――」


「ララ様」


 申し訳なくて俯いていると、がばりと身体を引き寄せられた。


 え――?


 一瞬何が起きたのかわからなかったが、ユリウスの腕の中にいるとわかると急に心地よい体温と安堵に包まれた。


「私の失態です。お怪我はありませんか?」


「えぇ、平気。でも、私……剣を抜けなかった」


 己の弱さが悔しかった。そして剣を抜くことを迷った。


「私、ユリウスから剣をあれだけ習っていると言うのに、いざと言う時に剣を抜くことに迷ってしまったの……だって、あの人たちも、悪党でも国民であることには変わりないから」


「ララ様の剣は振られた剣を受けるのみのものです。身を守ると言うことは、そういうことです」


「え……?」


 すると、ユリウスがそっと身体を離し、そのアイスブルーの瞳でララを見据えた。
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