過保護な騎士団長の絶対愛
※ ※ ※
夜の帳がしっとりと降る中。
コルビス王都の中心街の夜は、また昼とは別の顔を持ち合わせる。不夜城とも呼ばれ、夜通し店や酒場の喧騒が絶えない。
そんな中心街の裏路地の一角。
「あっはは! なにそれ、ユリウス、傑作ね」
ユリウスは、この女に今話したことを激しく後悔した。
酒場でもなく、店というわけでもない。人が五人も入れば窮屈になってしまうような隠れ家は、気が向いた時にユリウスがたまに立ち寄る薬師の館だった。
薬師の館というだけあって、置いてあるものは薬草や、なにかの植物の根っこ、そしてトカゲの尻尾らしきものが液体につけられて棚に並んでいる。見るからにいかがわしい雰囲気が漂う中、ユリウスは木の椅子に足を組んで眉を顰めていた。
「そんなに笑うな、鬱陶しい」
今日、ララに髪飾りを買った時、夫婦に見間違われたことを聞き、いまだ笑いの余韻に顔を歪めているイザベルにユリウスは気色ばんだ。
「その時のうろたえている顔は見ものだったでしょうね~」
イザベルは、全身黒のローブを身にまとっていて、クセのある長い赤毛が目立つ。豊満な胸元が蠱惑的に覗いていて、口元は薄布で覆っているが、薄ら見える細い顎のラインが器量の良さを際立たせていた。年齢はユリウスよりも少し上に見えるが、実際の年は不詳だ。
夜の帳がしっとりと降る中。
コルビス王都の中心街の夜は、また昼とは別の顔を持ち合わせる。不夜城とも呼ばれ、夜通し店や酒場の喧騒が絶えない。
そんな中心街の裏路地の一角。
「あっはは! なにそれ、ユリウス、傑作ね」
ユリウスは、この女に今話したことを激しく後悔した。
酒場でもなく、店というわけでもない。人が五人も入れば窮屈になってしまうような隠れ家は、気が向いた時にユリウスがたまに立ち寄る薬師の館だった。
薬師の館というだけあって、置いてあるものは薬草や、なにかの植物の根っこ、そしてトカゲの尻尾らしきものが液体につけられて棚に並んでいる。見るからにいかがわしい雰囲気が漂う中、ユリウスは木の椅子に足を組んで眉を顰めていた。
「そんなに笑うな、鬱陶しい」
今日、ララに髪飾りを買った時、夫婦に見間違われたことを聞き、いまだ笑いの余韻に顔を歪めているイザベルにユリウスは気色ばんだ。
「その時のうろたえている顔は見ものだったでしょうね~」
イザベルは、全身黒のローブを身にまとっていて、クセのある長い赤毛が目立つ。豊満な胸元が蠱惑的に覗いていて、口元は薄布で覆っているが、薄ら見える細い顎のラインが器量の良さを際立たせていた。年齢はユリウスよりも少し上に見えるが、実際の年は不詳だ。