過保護な騎士団長の絶対愛
「考えすぎって言いたいけど、ユリウス、あなたの予感は案外当たってるかもよ?」


 肩に乗った真っ白な小鳥のくちばしを愛おしそうに撫でながらイザベルが言った。


「ヴァニスは滅んでもいまだにその国の出身だって言うだけで嫌われる。その人が悪いことをしたわけではないのに、どうして仲違いするのかしらね……暴動が起きないか心配だわ」


 イザベルが切なげにため息をつく。


「王都について何かわかったら報告する。それより……」


 イザベルがユリウスの顔をちらりと意味ありげに見る。


「なにか思い悩んでいるような顔ね」


 イザベルが「図星でしょ?」と言わんばかりににこりと唇に弧を描いた。


「大したことじゃない。けど、この王国に万が一災いが起きるようなことがあれば――」


「それはあなたのせいではないわ」


 向かいに座るイザベルがじっとユリウスを見据える。諭すようなその瞳は、ユリウスでさえ言葉を失う時がある。


「あなたはララ様をお守りすることで、周りが見えてないんじゃないかって、そう不安になっているんでしょう?」


 自分でも言い表しようのなかった感情を、こうも言葉にされてしまうとぐぅの音もでなくなる。


「別に、そんなことはない」


 イザベルに図星されてもユリウスは虚勢を張る。
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