過保護な騎士団長の絶対愛
「ご、ごめんなさい」


 レオンの腕は逞しく、雄々しさを感じてしまう。異性を意識してしまい、恥ずかしくなってララが軽く身を離そうとすると、レオンは逆にララを引き寄せた。


「レオン?」


「すみません、今だけ……あなたをこうしていたいという、私のわがままをお許しください」


 やんわりと抱き込まれ、その温かさにララは何も考えられなくなる。高鳴る鼓動を聞かれてしまうのではないかと思うくらいに胸が密着する。


 ユリウス――。


 ララはいけないとわかっていても、レオンをユリウスの姿と重ねてしまう。まるで、ユリウスに抱きしめられているかのような錯覚に、ララは恍惚となった。


 月夜に照らされながら、庭園に咲き誇る花々がそっとふたりを見守っていた。
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