過保護な騎士団長の絶対愛
「あなたはどこから来たの?」


 右へ左へ交互に身体を回しながら、ララが尋ねる。


「私はただの旅の者です。たまたまコルビス王国で舞踏会があるというので興じてみようかと」


「あなたは私の知り合いに雰囲気がよく似ているの、喋り方とか……」


「え……?」


 レオンは少し驚いたように目を瞬いた。


「ユリウスっていう私の憧れの人でもあるし、ちょっと口うるさいところもあるけど、とても頼りになる人なの」


 くるりと身体を翻してひと回りする。ダンスをしながら徐々に緊張がほぐれていった。


「さっき、戦わなければ守れないこともあるって言ってたでしょ? それ、ユリウスもよく同じようなことを言ってた」


「そうですか、そのユリウス様という方と私は、きっと気が合いそうですね」


「ふふ、そうかもしれない。ユリウスみたいに、毅然と凛々しくありたいっていつも思うけど、私はいつも彼に迷惑をかけてばかりで……ねぇ、どうしたらもっと強くなれると思う?」


 ララの質問にレオンはしばらく考えるようにララから視線を外した。


「女性は力ではかなわないことの方が多いですから、けれど、心だけは誰よりも強くなることはできます」


「レオン……あっ」


「おっと」


 集中が削がれてしまったのか、調子のよかったステップを外してしまい、ララがつんのめると、レオンに抱きとめられた。
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