言葉にして
 待ち合わせ場所に着いたときには全身汗を掻いていた。
 急いで走ってやってきたなのかを見て、新菜は近くにあるカフェで何か美味しいものでも飲もうと誘ってくれた。
 なのかは先ほどのことを新菜に話した。

「それって・・・・・・浮気じゃない?」

 拓人のことを話すと、それを聞いた新菜の顔が険しくなった。

「違うよ。拓人君は浮気なんてしないもの・・・・・・・」
「今日さ、会社の同僚と遊ぶことをなのかに言っていたんだよね?」
「うん・・・・・・」

 それなのにどうしてと疑問が浮かび上がる。

「本人に何も言わないつもり?」
「だって・・・・・・」

 拓人が浮気しているかどうか問い質すべきと新菜が言った。
 不安を抱えたままアイスカフェオレを一口飲んだ。メニュー表を引き出して、ページを捲る。
 スイーツの写真を見ても、いつものように気分が上がらない。
 新菜と話をしていると、カフェのドアが勢いよく開けられた。
 大きな驚いて振り返ると、そこには拓人がいた。
 なのかに気づいて近づく店員の前を通り過ぎて、テーブル席へやってきた。

「あら、遅かったわね」

 先に口を開いたのは新菜だった。

「新菜、どういうこと?」
「なのか、行こう」

 拓人に手を引っ張られたのでつんのめる。

「ちょっと待って」
「何?」
 
 新菜に止められた拓人は眉間に皺を寄せた。

「ここで話せばいいじゃない」
「関係ないだろ。二人で話す」
「関係あるわよ」
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