王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
マリーよりもいくつか年上のように見える女性が、少し離れたところにいるマリーに気づいた。
高貴な雰囲気に若干圧倒されていたマリーは、細められた瞳に睨まれてピッと背筋を伸ばす。
そんなマリーに構ってなどいられないとでもいうように、女性はぷいと顔を背けて歩いて行ってしまった。
社交パーティのときに向けられた貴婦人たちの視線を思い出し、マリーは何か嫌われるようなことでもしただろうかとぱちぱちと瞬いてその後ろ姿を見送る。
彼女が立ち止まったのは、大きな門の前。
まさにマリーが探していた、学舎への入り口だった。
けれど、日傘を持たせるほどの令嬢が、騎士の学舎に何の用があるのだろう。
それはマリーも同じことだったが、とてもではないけれど訓練に来たようには見えない。
だとするなら、と自分と重ね合わせる部分を感じたマリーの目に、驚きの光景が飛び込んできた。
「ウィリアム!」
ぎいと重い門扉の開く音が聴こえたと思うと、甲高い声で女性が聞き覚えのある名前を呼んだ。
高貴な雰囲気に若干圧倒されていたマリーは、細められた瞳に睨まれてピッと背筋を伸ばす。
そんなマリーに構ってなどいられないとでもいうように、女性はぷいと顔を背けて歩いて行ってしまった。
社交パーティのときに向けられた貴婦人たちの視線を思い出し、マリーは何か嫌われるようなことでもしただろうかとぱちぱちと瞬いてその後ろ姿を見送る。
彼女が立ち止まったのは、大きな門の前。
まさにマリーが探していた、学舎への入り口だった。
けれど、日傘を持たせるほどの令嬢が、騎士の学舎に何の用があるのだろう。
それはマリーも同じことだったが、とてもではないけれど訓練に来たようには見えない。
だとするなら、と自分と重ね合わせる部分を感じたマリーの目に、驚きの光景が飛び込んできた。
「ウィリアム!」
ぎいと重い門扉の開く音が聴こえたと思うと、甲高い声で女性が聞き覚えのある名前を呼んだ。