王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「ウィルが会いに来てくれたから、私は狭い場所から広大な世界を垣間見られたのだと思います。
 ウィルと一緒に、もっと色んなことを目にしたかった。
 彼となら、全てが輝いて見える気がして、私の世界の全ては、彼と共にあると思ったから……」


 そこまで話して、マリーは自分の言葉尻が砕けていることにハッとした。

 いつの間にか彼のことばかりが頭を占め、ひたすら彼への想いを独り言のように口ずさんでいた。


「もっ、申し訳ございません! 王太子殿下のことを馴れ馴れしく口にしてしまい……っ」


 マリーが慌てて頭を下げると、国王と王妃はふたりで柔らかな笑い声を上げた。


「構わないよ、マリーアンジュ。
 ウィリアムを王太子としてではなく、ひとりの人間として見てくれていて、とても嬉しい」

「貴女にとって、ウィリアムがどれだけ必要な存在か、ウィリアムをどんなに想っているのか、よく伝わったわ」


 不躾なことだと思ったのに、ふたりが微笑んでくれてマリーは頬がこそばゆくなる。
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