王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「マリーアンジュ」


 隣から声をかけられて顔を上げると、ウィルが弱々しく眉を下げ、マリーを見つめる瞳をゆらゆらと揺らしていた。

 今にも緩みそうな口元をきゅっと引き締めて、何かを鎮めるようにゆっくりと目を閉じた。


「いいお嬢さんと出逢えたな、ウィリアム」

「はい、これ以上ないほど」


 目を開け国王を見据えるウィルは、姿勢を正しあらためて建言を宣う。


「マリーアンジュ・イベール嬢を、王太子妃として迎え入れることをご承諾頂きたいと存じます」

「よろしくお願い致します」


 申し合わせたように、ウィルとマリーはふたり揃って深く頭を下げる。


「もちろんだ。拒否する理由などない。
 マリーアンジュを王家へ迎え入れることを、認める」


 国王の威厳ある言葉にひと時の間を置いて、頭を上げたふたりは「ありがとうございます!」と喜びの言葉を揃えて言った。



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