王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「誰なんだ、そいつは」
ウィルの身分を知らない父は、愛娘のそばに立つ輩にあからさまに嫌悪感を示す。
今すぐに話を聞いてもらうことが、マリーの一番の役目だと思った。
「お父様、お母様。お話しなければならないことがあります」
「なんだ、話とは……お前は何をしているんだ。フレイザー公はどうしたのだ」
遅れて戻ってきたエレンが、立ち尽くす両親に向かって告げ口するように言った。
「そ、そこの輩でございます! 以前からマリーアンジュお嬢様に不埒に近づき、わたくしがそれまで目を瞑っていたばかりに付け上がり、お嬢様とフレイザー様のご婚約を邪魔したのに違いありません!」
「エレン、落ち着きなさい」
なおも気が治まらず、今にも飛び出していきそうなエレンを母が宥める。
「この際、エレンが隠し立てしていたことは置いておく。
だが、今の話は本当なのか? フレイザー公との婚約が白紙になったというのは」
「はい、本当です」
毅然として返事をすると、父の後ろでエレンを介抱していた母がふらりとよろめいたのが見えた。
ウィルの身分を知らない父は、愛娘のそばに立つ輩にあからさまに嫌悪感を示す。
今すぐに話を聞いてもらうことが、マリーの一番の役目だと思った。
「お父様、お母様。お話しなければならないことがあります」
「なんだ、話とは……お前は何をしているんだ。フレイザー公はどうしたのだ」
遅れて戻ってきたエレンが、立ち尽くす両親に向かって告げ口するように言った。
「そ、そこの輩でございます! 以前からマリーアンジュお嬢様に不埒に近づき、わたくしがそれまで目を瞑っていたばかりに付け上がり、お嬢様とフレイザー様のご婚約を邪魔したのに違いありません!」
「エレン、落ち着きなさい」
なおも気が治まらず、今にも飛び出していきそうなエレンを母が宥める。
「この際、エレンが隠し立てしていたことは置いておく。
だが、今の話は本当なのか? フレイザー公との婚約が白紙になったというのは」
「はい、本当です」
毅然として返事をすると、父の後ろでエレンを介抱していた母がふらりとよろめいたのが見えた。