王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「全て俺が自分で話をする。自身で対処すべきことだ」


 今にも声を上げんばかりのミケルを抑えるように、ウィルは毅然とした表情を見せる。

 彼の責任の自覚に、国を担う未来の国王の姿を見た。

 そんな頼もしい彼が自分を想ってくれているからこその態度だということに、マリーは胸を熱くする。

 馬車の明かりに照らされる凛々しい横顔に見惚れていると、屋敷の扉の開く音が聞こえて振り返った。


「マリーアンジュ!」


 父が慌てた様子でマリーを呼び、姿を現した。

 ウィルが自分で話をすると言ったからなのか、ミケルはすっと馬車のそばに身を引く。

 肩を弾ませ怪訝な表情をした父の後ろから、母もやって来た。

 マリーを門前に迎え出ると、一歩前に出てきたウィルに両親はそろって不審な目を向ける。

 エレンと同じように、動揺がうかがえる両親に罪悪感が生まれた。
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