王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「マリー、君は無知なんかじゃない。
 経済や国の情勢についても、君は詳しく知っている。父も関心していたし、母も敵わないと驚いていた」

「え……」


 優しく微笑むウィルに諭され、マリーは自分でも気づかないうちに知識を増やしていたのだと気づかされる。

 ウィルの隣にいても、恥ずかしくないような淑女として。


「君は俺の自慢の花嫁だよ。自信を持っていい。
 もちろん知識だけじゃない。何より俺の心を奪ったんだ。こんなに君を愛している俺の前で、何も不安に思う必要なんてない」


 サファイアの瞳が、優しく心を包むように見つめてくれる。


「俺には君しかいない。王太子妃に相応しいのも君だけだよ、マリーアンジュ」

「ウィル……」


 頬に触れてくる大きな掌にとてつもない安心感を得る。

 そっと重なってくる口唇は、マリーの不安を取り除き、代わりにそれ以上の愛情と幸福を与えてくれる。

 何があってもどこにいても、この手を信じていれば、きっと永遠に幸せでいられるのだろうと思わせてくれることそのものが、マリーの最高の幸福だと思った。

 



END.
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