君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「教王様にはお会いできるのだろうか?」
「ア、アルベール様!? お離しください」
「大事なことなんだ!」
「私には……んーっ」
言葉を発しようとした口は、アルベールのそれに塞がれ音を失った。
アルベールの舌が強引にフィーの中へ割って入り、激しく絡まってくる。

息ができない。

手足の感覚が薄まりそうになる中、押し付けられた唇の痛みと舌の妙な温かみが生々しい現実を突きつけた。

「……や……めて!」
力の限りでアルベールを押しのける。

「フィー」
アルベールが素早くフィーの腰に手を回し、身を引き寄せた。息がかかるほどの距離になる。

「君しかいないんだ」
「アル……んんっ」
また唇を重ねてくる。
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