君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「レイ様。ちょっと着替えてきてよろしいでしょうか?」
服を脱いで、全てを捨て去りたかった。そんな儀式めいたことが必要な気がした。

「あいつと話しがしたい」
自室へ向かうフィーの背中に固い声がかけられる。

「アルベール……だっけ? 奴とここで話しがしたい。近いうちに時間を作るよ」
「……わかりました。ありがとうございます」

これが2時間前だったら、本心から喜んでいた。
今、そんな表情を出せていただろうか。

刺すような視線を背中に感じる気がして、フィーは逃げるように自室へ戻った。



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