君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「最近、お盛んらしいわよ、教王様」
「そりゃあ、まだまだお若いし。疲れ知らずなのよ」
下卑た笑いがもれる。

庁内でレイがそんな風に思われている。
彼の権威や品位が軽んじられていて、胸が痛い。


「あの女も大したものよね」
軽蔑と怒りが込められた言葉だった。
「『侍女』だなんてもっともらしい役職つけて。やることやってるくせに。要は娼婦でしょ。」

(……私のこと?……娼婦?)
思いもよらない発言に戸惑う。

「主人の部屋で寝起きする侍女なんているわけないのにね。ごまかせると思ってるのかしら」
もう一人が同調し、興奮したようにさらに続ける。
「元は貴族だったらしいわよ。それが没落して、今や娼婦。落ちるところまで落ちたわね」
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