君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「それなのに、肝心な教王様に相手にされてないのよ。毎晩、違う女性が呼ばれてるんだから」
「立場がないわね」
「お嬢様だから。ご奉仕するのが苦手なんじゃない?」
嘲笑が部屋に響く。


地が抜ける。
暗い穴にゆっくりと落ちていく感覚だった。
確固たる物がすっぽりと消え、ただ抜け殻の体が漂っている。立っているのか、浮いているのかすらもよくわからない。

……どうして。
どうしてこんな話しになっているのだろう。


「でも、やっぱりコネがあるんでしょうね。教王様のお相手になれるのよ。あんな素敵な方に抱かれて、いい所に住んで、美味しい物を食べられるのよ。ある意味うらやましいわ」
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