君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「まぁ、なんてステキなお部屋!」
隣の部屋から女性の嬉々とした声が聞こえた。
戻ったには戻ったが、一人ではなかった。
浮かれてはしゃいでいるのがここからでもわかる。

こんな時に……。
焦りで手が震える。
ノックしようとするも指がドアに触れられない。
早くしないと、このままでは事が始まるのも必至だ。


『要は娼婦でしょ』
『落ちるところまで落ちたわね』
『肝心な教王様に相手にされてないのよ』
先ほどの二人の声が頭に響く。

(違う。そうじゃないの!)

『卑しいにもほどがあるわ』
『子供に体を売らせてまで特権階級に戻りたいのかしら』
侮蔑のこもった声。

(お母様は関係ないわ。私が決めた事なの!)

敵意むき出しの推測に反論したかった。
もう誰からもそんな目で見られたくない。
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