君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
いつから?
どこまで?
どうして私を?
答えの出ない疑問ばかりが頭に浮かぶ。

すべてが彼から始まっていた。
そして、今のこの状況も彼が引き起こしたようなものだ。
……何のために?

今日までの日々が疑念に色褪せていく。

それでも。
それでも、一縷の望みを捨てきれない。

(きっと、なにかわけがおありになるんだわ)
尋ねたら、きっと教えてくださる。


レイが戻ってくるのを、フィーは静かに待った。
1秒でも早く真相をお聞きしたい。
急く気持ちを押し付けながら自室に控えていたが、こんな時に限ってレイはなかなか帰って来なかった。
夕食の時刻が過ぎ、教王庁に夜の静けさが漂い始めた頃。
< 121 / 122 >

この作品をシェア

pagetop