君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
フィーより5つ年上で、今は24歳だ。社交界のマナーや知識に深く、ダンスや馬術、剣術も得意な多彩な才能の持ち主だった。
柔らかい物腰の中に時折見せる、男性らしい少し強引なところや強い意志がフィーの心をさざめかせた。
密かに憧れてはいたが、彼が男爵家の次男という身分であったため、ライサはあまりいい顔をしていなかった。
そのうち、騎士見習いとして王宮に仕えるようになり、会う回数はますます減った。そして、アッバス家の爵位が剥奪されると、その機会は完全に失われた。
最後に会ったのは5年前だったはずだ。
「昨日、大きな荷物を持ちながら、カドラス大司教に会いに来ただろう? その時に、『あれ? もしかして』と思ったんだ」
あの時確かに数人の騎士がいた。その中にアルベールがいたということか。
全く気が付かなかった。
「驚いたよ、まさか君に会うなんて。どうしてここに?」
「……えっと……教王様の飼い犬のお世話役として、ここに住むことになりました」
「? どうしてわざわざフィーが呼ばれたの? 部屋も与えられて?」
話せば話すほど疑問がわいてくるようだった。
説明しているフィー自身もわかっていないのだから、無理もない。
柔らかい物腰の中に時折見せる、男性らしい少し強引なところや強い意志がフィーの心をさざめかせた。
密かに憧れてはいたが、彼が男爵家の次男という身分であったため、ライサはあまりいい顔をしていなかった。
そのうち、騎士見習いとして王宮に仕えるようになり、会う回数はますます減った。そして、アッバス家の爵位が剥奪されると、その機会は完全に失われた。
最後に会ったのは5年前だったはずだ。
「昨日、大きな荷物を持ちながら、カドラス大司教に会いに来ただろう? その時に、『あれ? もしかして』と思ったんだ」
あの時確かに数人の騎士がいた。その中にアルベールがいたということか。
全く気が付かなかった。
「驚いたよ、まさか君に会うなんて。どうしてここに?」
「……えっと……教王様の飼い犬のお世話役として、ここに住むことになりました」
「? どうしてわざわざフィーが呼ばれたの? 部屋も与えられて?」
話せば話すほど疑問がわいてくるようだった。
説明しているフィー自身もわかっていないのだから、無理もない。