君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜

「アルベール様。私がレイ様にお話しして、必ず誤解を解いてみせます」
レイの元へ戻らなくてはならない。早口でささやくように伝えた。


「せっかくの料理が冷めるよ」
レイはすでに着席していた。
テーブルには二人分以上の朝食が並べられている。品数は他の人たちと同じだが、量が歓待の意を表していた。
レイはフィーが席につくと、おもむろに食べ始めた。フィーもそれに倣う。

二人の周りだけ不自然に席があいていて、誰からもよく見える状態になっている。敬愛、畏敬、憧憬、そして嫉妬。いろいろな視線が注がれる。
フォークを持つ手からそろえた足の指先まで。被告人席に座らされ、値踏みされているような気分だった。

普段はおいしく食べられている料理が、口の中でパサついてうまく飲みこめない。