君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜

「彼が教王様だなんて思ってもみなかったんだ。知らなかったこととはいえ、あんな無礼な振る舞いをしてしまって……。どうお詫びしたらいいか」
「ごめんなさい、私のせいで……」
「フィーは最初から知ってたんだよね？　だったら、話してほしかったな。僕一人が道化師じゃないか」
「……本当にごめんなさい」　

声を荒げるアルベールを前に、フィーは自分の顔が引きつっているのを感じた。
アルベールの余裕のない表情。きっとこちらの話を聞く気にもならないのだろう。
昔と変わらず接してくれて、何も知らない自分を心配し、支えてくれた。そんな彼に甘えすぎていたのかもしれない。
ショックと焦りの中、フィーは必死に謝罪の手段を思案していた。

「フィー！！」
人目もはばからず遠くから主の声がした。彼はそれが唯一許される存在だ。