君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「カドラス様がおっしゃった通り、まぁ、私で無理なら誰がやっても助けられないでしょうなぁ。なにせ、自他共に認める名医でありますので」
「早く……早くレイ様を治してください!」
呑気な態度に思わず語尾が強くなる。

「食堂で出された昼食はちゃんと完食しましたか?」
「え?」
脈絡のない話しをふられ、一瞬呆ける。
「は、はい。レイ様はたくさん召し上がっていました」
「それはそれは、お利口さんと褒めたいところですが……。シチューの玉ねぎ、パンに入っていたレーズン。これがいけなかったですね。犬にとっては猛毒です」
「あっ」
「人間の時は平気だったのでしょうが、犬に戻った時に作用したのでしょうねぇ。というわけで、解毒治療が必要です。お手伝いして頂けますか?」
「はい! なんでもします! レイ様をお助けください」


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