いじめっ子には愛の鉄槌を

「なぁ、のび華」




淳太君があたしを見て、口角を上げる。

その意地悪だが綺麗な顔に、思わず見惚れてしまう。

そして目が離せなくなる。

鎮まれ鎮まれと願うのに、胸は熱く鼓動は速い。

そんなあたしを知っているかのように、淳太君は再びあたしの二の腕を掴み……

左手であたしの唇に触れる。

淳太君のくせにそっと触れるものだから、身体中の毛穴が引き締まって、ぞわぞわっと震えが這い回る。

そして、硬直するあたしの唇に……そっと唇を重ねた。





淳太君のくせに、乱暴な淳太君のくせに、びっくりするほど甘くて優しいキスだった。

身動き一つ取れないあたしの唇を、まるでわたあめでも舐めるみたいにそっと貪る。

キスなんてしたことがないのに、どんなキスが上手いかなんて分かるはずもないのに、淳太君のキスはあたしを溶かして何も考えられなくしてしまう。

真っ白になる頭でただひたすらそれに酔った。