いじめっ子には愛の鉄槌を




そうなんだ。

そんなこと、全然知らなかった。

そういえば、一ヶ月くらい淳太君がいない年があった。

淳太君の取り巻きたちは相変わらずあたしをいじめたけど、ガキ大将の淳太君がいなくてホッとしていた覚えがあったのだ。

あの時は、淳太君があたしを守る代わりに大怪我を負ったなんて、知るはずもなかった。






「だから淳太、後遺症で左手の小指を上手に動かせないんだ。

それでもこれは、桃華ちゃんを守った証なんて自慢げに言っていて……」





胸が痛い。

淳太君はあたしをいじめながらも、あたしを守ってくれたんだ。

昔のことだけど、もう時効だろうけど、ちゃんとお礼を言わなきゃ。

柊君も正義の味方だったけど、淳太君だって正義の味方なんだ。



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