いじめっ子には愛の鉄槌を






次々と溢れ出すあたしの涙を、淳太君はそっと掬う。

淳太君のくせにその優しさは反則だ。





「あたしは、二十年近く柊君に恋してきた。

だから、三年なんて長いと思わない」





三年後に結ばれると決まっているなら、三年なんて喜んで待てる。





「それを言うと俺が悲しくなる」




淳太君はふっと笑ってあたしに告げる。

そして、溢れる涙にそっと口付けする。




「俺はすげぇ複雑な思いだ。

桃華には幸せになって欲しいのに、離したくない」



「じゃあ、離さないでよ!」




あたしは悲鳴のような声を上げていた。

涙で顔をぐしゃぐしゃにして、淳太君にしがみついて、縋るような瞳で見る。

我ながら迷惑な女だ。

こうも醜くいじめっ子の淳太君に執着しているなんて。


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