きみいろ~そして二人は恋をする~
そんなことを思い出しながら・・・。
クラウスの中には『彼女に任せてみてもいいのでは』、と言う気持ちが芽生え始めていた。
彼女には、この療養環境を改善できるだけの力がある・・と。
そして、『出来ることをやらずにいることは、逆に罪ではないか?』とさえ思えた。
なぜか確信できたのだ・・・。彼女ならできる・・・と。
そんな考えが巡った時、クラウスには、可能性という光が差し込んだのを感じた。
それは、まだまだ小さな光ではあったけれど・・・。
彼女だから・・信じてみたい。
彼女だから・・任せてみたい。
彼の中に小さな想いが生まれ、そしてそれは少しづつ繋がっていった。
やがてその思いは可能性という光に繋がっていき、彼の心の闇を照らし始めていた。
そして、小さな想いは・・・クラウスを動かす原動力になり・・・。
彼に強い決意をもたらした。
『きっとそれは、道を開く手がかりになる・・・!』
「殿下・・・。彼女なら出来るかもしれません。いえ、彼女しかできない!・・・私は、ユリアに任せたい!」
彼は動いた。新しい道を切り開くために・・・。
無気力で関心がなかったクラウスが、王太子として国の為に下した決断。
それは、無気力で何もしたがらなかったクラウスが、前に進みだした瞬間でもあった。
シェラは、そんな兄を見ながら、入れ替わりが終わるのは毛すぐなのかもしれない・・と。
兄のいい意味での変化を、しっかりと受け止めていた。