きみいろ~そして二人は恋をする~
それに、いつか話していた・・。

今の診療所に来る人は、これでも恵まれている・・・と。

下町の治療院は、もっと大変で・・・。考えること、やることは多々あった・・と。

二人に関わったことで、彼女には、夢ができた。
でも、今の王国内の状況では、それをかなえるためのプロセスは非情に厳しい。

医官登用試験の受験資格を変えるにしても、長年続いた歴史を変えることは簡単ではなく、
それなりの時間が必要だ。

女性が参入することで、国に有用性が見られたり、その結果がよい方向へ変わるといった、
『実績』が伴わなければ、いくら二人が参入を唱えた所で、貴族を説得するのは不可能だろう。

それに・・クラウスもシェラも、薄々感じてはいた。
町医者として収まるにはもったいない存在であると・・・。
元宮廷医官の娘であるという点をもあるけれど、それをとっても認められるほどの
確かな実力を持っている人でもあるのだから・・・

彼女の実力を腐らせるのはもったいない・・・。

二人はあの一件でそれを実感していた。

だから、彼女の夢を後押しするためにも、女性達の働く場所を拡大する制度を・・・。
新しい仕事の確立を・・そこに繋がる道を何とか作りたい・・。
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