長男・長女の恋模様―真面目×真面目=?!?

「とりあえずお腹空いたよね?ご飯食べに行こう。何が食べたいとかある?」

お腹は空いたけど、これといって食べたいものは無い。

「お腹は空いたんですけどコレ!ってのが思い浮かばなくて」

そう言うと、悠斗さんは少し考えてからこう返事をくれた。

「じゃあ無難にランチはイタリアンでパスタにでもしとこうか?」
「そうですね!」

そんな訳で銀座のイタリアンでランチを食べることになった。
銀座のイタリアンってだけで尻込みしかけたが、悠斗さんに連れられて行ったイタリアンは銀座でも少し奥の隠れ家的なお店で、値段も銀座という土地にありながらリーズナブルで味も美味しかった。

ちなみにお金は払わせてもらえなかった。
誘ったのは俺だからって。
いつも女子同士とか双子とお出かけだから、お金を払わないって状態に慣れない。

「悠斗さん、ご馳走様でした」
ペコっとしつつお礼を伝える。
すると、悠斗さんはクスリと笑って言った。

「梨乃ちゃんはしっかりしてるね。気にしないで。次は電車で移動ね?」

そう、いま私。なにげなく悠斗さんに手を握られて歩いています……。

高校、大学、社会人どこをとっても麻里花か双子のお世話と家事で過ごしてきた私は、しっかり者の見た目とは裏腹にこの手の事には奥手で……。

つまり、手を繋ぐだけで実は内心パニックの嵐になってる。

双子よ、これいくら経験値ゼロの私でも分かる。

これは双子がからかうように突っ込んできてきたデートのようだ。

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