長男・長女の恋模様―真面目×真面目=?!?
次に電車に乗って移動した先は、出来て数年の新たな電波塔。
ここはショッピングモールに水族館にと色々あるし、近くは浅草寺という都内の新たな観光スポットだ。
出来て数年、いまだに混みまくるのでまだ来たことは無かった。
「水族館を眺めたら、この展望台に行こうと思って。高い所は平気?」
そう聞かれて、私は答えた。
「大丈夫です。ここまだ来た事なかったんです」
「俺もだよ。じゃあ行こうか」
そうして水族館でいろいろな魚や生き物を眺めて楽しんだ後、展望台へと入場券を買い、並んでエレベーターに乗った。
数年経つけど、やはりまだ世間の休日は混んでいる。
少し並んだけれど、並びながらも色んな会話をして待っていたので待ち時間はそれほど苦痛じゃなかった。
カフェでお茶したりしてから登ったので、上に来た頃には夕日が沈みかけるような時間帯になった。
ゆっくり町並みの中に明かりがつき始めた都会を見下ろして、その景色を楽しんでいると悠斗さんが口を開く。
「梨乃ちゃん、話があるんだ」
夕日に照らされた少し固い表情をした悠斗さんに、そう声を掛けられた。
「はい、何ですか?」
こんな顔した悠斗さんに何を言われるのか。
デートだとは思ったけど、なんで誘われた上にこんな感じなのか私はイマイチわかっていない。
「今日は来てくれてすごく嬉しかったよ。梨乃ちゃんに今付き合ってる人がいないなら、俺を梨乃ちゃんの彼氏にしてほしい。梨乃ちゃんの事が好きだよ」
そう言われて、全く予測していなかった告白に私は固まってしまった。