ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
今にも、姉の元へと駆け出したい。

そんな衝動に駆られたが、あたしはグッと自分を押し殺す。

姉がやっと必死に見つけた、選択。

何も知らず、無力なあたしが今の姉の元に行って何ができる?

何も、出来やしない。

そして単純に、純粋に知りたくなった。

姉が生きた世界を・・・

だから妹は名前も知らない、彼や彼らを探すために南棟から北棟へ移ることにした。

自分がわからない。

そう苦しんでいた姉の気持ちは、きっと妹が1番わかる。

だって、妹もそうだったから・・・

新しい名を与えられ、昨日まで他人だった見ず知らずの人間と家族になる。

それが、不幸だと言っているわけじゃない。

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