ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
あたしはゆっくりと、深呼吸をする。


「イチ」


久々に、キミの名が口から零れた。


「・・・会いたいよ」


あたしは座り込み、積み上げられているダンボールに体を預ける。

そして、静かに瞳を閉じた。

そして、いつの間にか・・・

そのまま寝てしまったようだ。

早く、帰らないと・・・

あたしは手にしていた手紙を、ダンボールへと戻す。


「もう少し、待ってて」


ここには居ない、キミに向けて呟く。

もちろん、キミから返事などない。

切ない気持ちを噛み締め、後ろ髪を引かれる思いで足を進めた。

外に出ると、制服を着て歩く生徒が目に止まる。

・・・今、何時?

あたしは腕時計へと、視線を送る。

時計の針は、4時50分を示す。

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