BAD & BAD【Ⅰ】
真修が、真顔で餅を焼いてる。
そのすぐそばで、餅にチョコレートアイスをトッピングしようとしてる副総長を、桃太郎が全力で止めてる。
たかやんと弘也は、羽根突きをしていた。
あははっ!弘也の顔、墨だらけじゃん。どんだけたかやんに負けてるの。
「……あれ?」
「どうした?」
たかやんの近くで、羽子板片手に弘也を私みたいに爆笑している、オリーブ色の長髪の男に目が止まった。
「こ、こいつ……」
「お前、こいつを知ってんのか!?」
「誰!?」
「紛らわしい反応すんな!」
私に長髪男子の友達はいない。
てか、そもそも友達が少ない。
腰辺りまである、サラサラそうな髪。
口の下にほくろがあり、ついでに食べカスもついてる。
目の周りは、こいつも羽子板で惨敗したのか、墨で塗りたくられてる。
うん、やっぱりこんな奴知らん。