BAD & BAD【Ⅰ】
「神雷を守りたい理由を話すには、まず去年の夏に遡らなきゃいけねぇ。
――あれは、蝉の合唱が暑さを強調していた日のことだった。横暴で理不尽で厳しい、おじいさまのしつけに耐えられなくなって暴れてたところに、鷹也が現れたんだ」
いきなり語りだしやがった!
いや、聞いたのは私だけど、唐突すぎないかおい。しかも、やけに回想細かいし。
それよりも、こいつ今、おじいさまっつったか!?
おぼっちゃま感を今更出してきたー!!
似合わなすぎる。爆笑もんだわ。
「う、うん、そ、それで?」
「てめぇ、なに笑ってんだ」
「な、なんでも、な、い……っ」
ちょ、む、無理。
半分坊主のくせして、アホな策士のくせして、おじいさまって呼ぶとか……ブフッ。
ツンツンしてるのに、反抗しきれてない!
可愛いやつだな!!
笑いを必死にこらえながら、剛に話を続けるように促した。
「鷹也は拳で俺の暴走を止めて、神雷に誘ってくれたんだ」
「たかやんイケメンじゃん!」
「そういうのやめろ。うぜぇ」
「ウザい!?どこが!?」