BAD & BAD【Ⅰ】
「幸珀っ!」
観覧車から少し離れた距離のところで、肩を掴まれた。
誰!?
反射的に振り返る。
「あ、真修……」
真修の呼吸が、荒い。
全速力で走ってきたの?
よく私に追いつけたね。すごいよ。
「どうしたの?」
「幸珀、俺……っ」
「真修……?」
肩を掴む力が、強まる。
真修は憂んでる顔を、さらに陰らせた。
そっか、心配してくれてるんだね。
「私は大丈夫だよ」
ありがとう。
そう伝えるように微笑んで、そっと肩に乗っかった真修の手をどけた。