BAD & BAD【Ⅰ】
真修は優しいね。
頼りなげな唇を引き結んだ真修の頭を、ポンポン撫でて、背を向けた。
「幸珀……」
真修の憂いは、溶けずに残ったままだった。
何も言わずに真修と別れてから数分経って、ハッと思い出す。
やばい!唄子ちゃんと弘也探ししてること、すっかり忘れてた!!
「弘也、まだ観覧車のとこにいるかな」
とりあえず、観覧車で遭遇したことを連絡しておこう。
「おい、あんた、1人だろ?一緒に来い」
「い、嫌、です」
「あぁ?」
怪しげな会話が聞こえて、スマホに伸びていた手をピタリと止める。
今の、唄子ちゃんの声?