好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
隣に並ぶと、その瞳は銀色と気づいた。
海雨の病室で逢った時は、黒かったそれ。
(わざわざコンタクト外してきたんだ……)
あ。
(黒藤さんの髪、黎の瞳と似てるんだ……)
どこかで見た色だと思っていた。黒藤の前髪に混じった銀色の髪。
……黒藤は当然のように黎を知っている風だったが、黒藤と逢ったことは話していいものだろうか。
告げられたのは、真紅の血筋。
「どうした?」
見上げたままでいると、黎が訝し気に見て来た。