好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「いひゃっ⁉」
「ったく、どうしたって言うんだ。そんなに逢いに来たのが迷惑だったか?」
頬を覆っていた手が摘まんでから離れた。
真紅は頬を押さえて睨み上げた。
そんなことはない。逢いに来てくれて、とてもとても、嬉しかった。
今だって。
「………」
黎は、真紅の心配の理由なんて欠片も気づいていない。
……架は知っていた、その理由。
「……遠慮、しなくていいなら訊いてもいい?」
「なんだ?」
「桜城の家って、どうなってるの? 兄弟なのは戸籍上だけ、とか」