好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「むしろ、家になら誠さんはいるし、弥生さんは友達だしで、割かし楽しくしてるみたいだ」
苦笑を噛み殺す黎。
「じゃあ、お返しに私の秘密も教えてあげるね」
「秘密?」
「私にお父さんがどうしていないか」
「母しかいないって、言っていたな」
「うん。私のお父さんはね、私が生まれてすぐに恋人と駆け落ちしたの」
「……真紅の方もすごい状況だな……」
「それがねえ、もっと驚きがあるんだよ」
「聞いていいのか?」
「聞きたくなかったら話さないよ? 黎が選んで?」
「……聞く」