好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
白桜の手を離れて駆けよった真紅は、勢いのまま膝をついてその頬へ手を当てた。
冷た――くはない。むしろ、緩やだが鼓動が伝わってくる。
「黎! 黎! ごめん、なさい……っ」
まだ命が続いていると言っても、血を吐いて倒れたのだ。
そして同時間に真紅に起きたこと。無関係なはずはない。
「ごめんなさい……黎……!」
視界が涙で揺らぐ。
真紅の指が、黎の口元に残った血に触れた。
その瞬間、血は弾けるように消えた。そして――
「っ……まこ………?」
大すきな、声が自分の名前を呼んだ。