好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「真紅の誕生日は、妖異の一部には知れていただろう。烏天狗に狙われていたくらいだからな。

真紅の誕生日――明日まで待てば、始祖の転生を狙う烏天狗以外の妖異も一気に相手しなくちゃならない。

それと同時に黎の件も片付けるのは少しばかり手がかかる。黎に何が起こるかまでは俺もわからなかったから、時間的余裕が必要だった。

今回は、真紅の血の目覚めがよく自身が身のうちから真言(しんごん)を思い出してくれたが、最悪の場合も考えなくちゃならない。

真紅が目覚めた力をコントロール出来ずに呑まれてしまうパターンだ。

その場合でも、対応出来るのは俺と白だけ。真紅の封じが解けるのが早まれば、誕生日を狙っていた妖異はそれに気づくのも少しは遅れる。

その差がほしかった。

だから別に母上の目覚めは関係ないです。真紅の封じが、母上の予定より早く解ければよかっただけです」
 

簡単そうに話す幼馴染を見て、白桜は心底からため息を吐いた。現状では黒藤の霊力の方が勝っているとはいえ、十六年前にかけられた、命をかけた術に介入して、呆気なく自身の掌中(しょうちゅう)に収めて操ってしまう。


――当代最強の呼び名は伊達ではない。


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